BELT ベルト製品

大切な荷物を支えるベルト製品

物流の作業現場において欠かすことが出来ないのがベルト製品。大切な荷物のみならず、時には人命をも守るとても重要な存在です。代表的なベルト製品には、荷締めに使用されるラッシングベルト、荷物の運搬、吊り上げ時に使用されるスリングベルトなどがあります。
その品質には様々なものがあり、材質や織り方によって性能が変わってきます。荷物がほどけてしまうと大事故につながる物流の作業現場において、まさに命綱とも言える存在です。

物流の現場における丈夫なベルトの選び方

一括りにベルト製品と言ってもその材質、縫製方法によって様々な種類のものが存在します。
この章では物流の現場で多く使用されているベルトの材質や織り方について紹介していきます。

主に物流の現場で使用されているベルトの材質にはポリエステル製とナイロン製があります。ポリエステル製の方が硬質で変形しにくいという特徴を持ち、ナイロン製は柔らかく伸びがあるので破断しにくいという特徴があります。
また、両者ともに吸水しにくい材質ではありますが、比較するとポリエステルはナイロンとは段違いの吸水率の低さを持っています。
さて、物流の現場で荷締めに使われるラッシングベルトや、荷物を吊り上げるために使われるスリングベルトを選ぶ場合において重要なポイントとは何でしょうか。
ラッシングベルトは輸送中に荷崩れを防ぎ、荷物を固定するために使われます。となれば、柔らかく伸びがあるナイロン製よりも、硬質で変形しにくいポリエステル製のベルトの方が揺れなどによる緩みも発生せず安定した荷姿に仕上げられると言えるでしょう。耐水性においても、吸水性が低く、速乾性の高いポリエステル製の方が長期的に使用可能です。

スリングベルトはクレーンなどで荷物を吊り上げて運搬する場合に使われます。野外で重量物を運搬する目的に使われることも多いですから、こちらにおいても硬質で変形しにくく、吸水性の低い性質を持つポリエステル製のベルトが望ましいでしょう。
ナイロン製には伸びやすいため破断しにくいという特色もありますが、ラッシングベルトで荷締めに使用することを考えるとそれよりも伸びにくく安定して荷姿を維持できることの方が重要です。縦横の揺れによって荷物が緩み、ベルトを締め直したり荷物のバランスが崩れてしまうことを防ぐためには、伸縮性の少ないポリエステル製のベルトの方が望ましいと言えます。スリングベルトについても同様で、伸びの少ないベルトの方が荷物を吊り上げた際に安定しますし、荷姿を安定させることによって不慮の事故を防ぐことにも繋がります。

ベルトの特性を決めるのは材質だけではありません。その織り方も重要な要素となってきます。ベルトの織り方には平織りと綾織りの2種類があります。
平織りは繊維を縦横1本ずつ編み込んでいく方法で、丈夫で引張強度が高く、摩擦に強いですが伸縮性はあまりありません。綾織りは斜文織とも呼ばれ、タテ糸が2本もしくは3本のヨコ糸の上を通過したあと、1本のヨコ糸の下を通過することを繰り返す織り方で、摩擦に弱い一方、伸縮性に優れシワがよりにくい特色があります。荷締めに使用されるラッシングベルトは引張強度、耐摩擦性が重要になるため、平織りのベルトが望ましいと言えます。スリングベルトにおいても、伸縮性が少ない方がより荷物を安定して吊り上げることができるため、平織りのベルトの方が良いでしょう。

ラッシングで小さな力で強い荷締めを

ラッシングベルトはあらゆる荷物の固定や荷崩れ防止に使用する荷役用品です。荷締め用のベルトに固定用のバックルを取り付けたもので、トラック輸送をはじめ、陸・海運業界やパレット搬送、一般的にもモーターボートやバイクの運搬時の固定に使用されています。バックルの種類には、「ラチェットバックル式」、「カムバックル式」、「オーバーセンターバックル式」があります。

ラチェットバックル式操作方法

「ラチェットバックル」とは歯車と歯止めを組み合わせたラチェット機構を内包し、荷締めの力を一方向に制限したバックルです。小さな力で強い荷締めができるため、ラッシングベルトでは最も多く使用されているバックルです。

カムバックル式操作方法

「カムバックル」とは適当なトルク(ねじる強さ)を加えてベルトを固定する金具です。衣服に使用するベルトにも多く使用されている方法で、シンプルで軽量。強い力での引き締めが必要ではない場合の荷物の固定、サーフボードなどのレジャー用品を車に固定する際などに使用されます。

オーバーセンターバックル式操作方法

「オーバーセンターバックル」とはセンターの金具を倒すことにより、引張ったベルトを固定するバックルです。金具を反転させることで強力な固定が可能です。箱車内でのカゴ台車の固定などで使用されます。

スリングでどんな形の荷物もしっかり支える

スリングベルトはさまざまな荷物を吊り上げる際に使用される繊維製のベルトです。用途によって適した形状のものを使用することで、どのような荷姿の荷物でもしっかり支えます。スリングベルトには様々な用途に使用できる通常仕様のものの他、柔軟なロープ状でエンドレスタイプのラウンド形、特殊な二重構造のエイト形、金具付のものなど多様な形状があります。

通常仕様のスリング

通常仕様のスリングベルトは適度な幅があり、極めて安定性の高いスリングです。両端のアイ部を絞り、保護布で覆ってあるため、玉掛け作業が容易で耐久性も抜群。ただ、表面の材質が硬めのため直巻きによる作業には、ラウンド形、エイト形が多く使用されています。

ラウンド形スリング

ラウンド形のスリングはポリエステル原糸をロープ状にたばねて保護布で覆ったエンドレス状のスリングです。柔軟なロープ状になっているので、幅広い荷姿に自在になじみ、滑りが少ないことが特徴です。

エイト形スリング

エイト形のスリングは芯糸にポリエステルを使用し、強度・耐久性に優れています。荷重を受けるボディ部が柔軟性に富んだ二重構造になっているので、幅広い荷姿にも自在になじみます。

金具付スリング

金具付スリングはマスターリンク(上金具)との併用により、1つの巻上げフックに複数のベルトがかけられる等、様々な用途に使用することができます。

特殊仕様のスリング

特殊仕様として、クリーンルーム用や化学薬品用のスリングも存在します。異物の混入が許されないクリーンルームには通常のスリングが使用できない場合があります。クリーンルーム仕様のスリングは㈱キトーが非常に高い技術を持っており、クリーンクリーニングシステムを採用することによりクリーンルーム内清浄度クラス1000で使用できる製品です。洗浄、乾燥後に専用クリーン袋に包装し、出荷されています。

化学薬品用スリング

化学薬品用のスリングは耐薬品性の強いポリプロピレン(PP)繊維で製造されます。酸・アルカリに強く、薬品処理工程の使用に最適です。

ベルトへの工夫とこだわり

ホイスト製品国内最大手、吊り上げることに関して他の追随を許さないキトー。
マルイチは仕入厳選主義として、キトー製品の品質を強く推していますが、
キトーが製造するベルトには数々の工夫とこだわりが詰まっています。
ここではそのこだわりを紹介させていただきます。

リミットサイン

ベルトスリング(BSL形)、およびカナグ付スリング(SCL形、BWL形)のベルトには赤色の芯糸が折り込んであり、リミットサインと呼ばれ、損傷により芯糸が見えたら使用限界です。吊り上げの現場での事故は人命にかかわる大事故になりかねません。使用限界を目視ではっきり把握することで、安全な輸送、運搬をサポートする、ホイスト製品最大手ならではの発想です。

リミットライン

キトー製のラッシングベルトに使用されるベルトにはリミットラインと呼ばれる黒色の糸が縫製されています。このリミットラインを見ることで破断強度が一目でわかるようになっています。それぞれの破断強度はリミットラインの黒糸が1本なら1t、2本なら2t、3本なら3t、5本なら5tです。安全な荷締めにこだわったキトーならではの仕様です。

高品質ポリエステル製

キトーのベルトは高品質なポリエステル製。ポリエステルは破断強度、弾性伸び、耐水性、耐光性に優れた理想の原糸です。chapter2でご紹介したとおり、物流の現場で使用されるならポリエステル製のベルトをお勧めします。また、キトー製のベルトは平織りで製造されているためとても丈夫です。

ポリエステルベルトをお選びいただく上での注意点

海外製品や国産品でも海外製ベルトを使用している安価な製品は、ポリエステルベルトと謳っているものでもベルトが伸びてしまうことが多々あります。それらの製品は、ベルトを製造する過程において、ポリエステルの品質および不純物の混入等、ポリエステルベルトの基準に達していないものが多々存在しているという報告があります。もちろん、全ての海外製品に問題点があるというわけではありませんが、このような製品を使用すれば、荷物の固定が不十分となり、荷崩れ等による重大な事故を引き起こす恐れがあります。
安心・安全を得るためには、海外製品や安価な国内製品と、厳格な基準によって製造された高品質の国産ポリエステルベルト製品の双方を比較された上で、お客様の的確な判断でお選びいただくことが必要です。