METAL 金具類

金具にもこだわりを

物流に使用される資材を製造するうえで欠かせないのが「金具」の存在。ボルトやネジなど固定するためのもの、バックルやフックなど支えるためのもの、ハトメなど繋ぐためのもの。物流の現場では様々な金具が使用されています。金具は荷重がかかったり、製品の機能性に直結するとても重要な部分です。
ここではマルイチがこだわって使用している金具について紹介していきます。

ハトメにも色々あります

トラックシートやターポリン生地にゴムやロープをつけるうえで必要となるのが「ハトメ」。
このハトメには色々な種類があります。通常よく使われるハトメは真鍮製のものです。
ハトメは装着時にアイレット部分を打ちつけて固定するため、
加工性と強度を併せ持った真鍮が多く使用されるようになりました。

ハトメの固定の仕方

また、耐食性を重視したアルミ製のハトメもあります。強度は真鍮製より落ちるので、荷重のあまりかからない場合に使用されます。その他にも、ハトメが回ることを防止してより強く固定できる仕様の「鬼ハトメ(グロメット)」、シートで密閉した際に空気を通せるようにするための「網ハトメ」、平らなベルトなどを通すための「小判型ハトメ」など、様々な種類のハトメが存在します。

ハトメには用途によって様々なサイズのものがあり、外径1.5mm程度の小型のものから外径70mm程度の大型のものまで存在します。小さいものは手芸用などが主で、物流の現場では23号(外径16mm)~30号(外径27.5mm)が使用されます。これより大きいものはカバンや衣服、ベルトなど主に衣料品や服飾品に使用されています。

ハトメは人力でも綺麗に打ちつけることができるため汎用性は非常に高く、あらゆる産業で活用されています。
しかし、ハトメ打ちの工程は穴開け、差し込み、打ちつけと手順が多く、作業に時間がかかります。さらに、人力の場合は作業者によって仕上がりにバラツキが出るため、一定の品質を保つのが難しくなります。そこで、開発されたのが自動ハトメ機。生地に穴を開け、上部からオス型の金具を、下部からメス型の金具を自動的に送り出し、打ちつける一貫の動作を瞬時に行うことができ、品質の均一化を図ることができます。マルイチでもこの全自動ハトメ機を導入し、より精度の高いハトメ固定により高品質な製品を生み出しています。

モノとモノを繋ぐ鐶

物をつなぐカン。漢字では「鐶」、または「釻」と書かれ、金属製の輪のことを指します。物流の現場でなくてはならない金具のひとつです。鐶には様々な形状があり、用途によって使い分けられます。ここでは鐶の種類とその特徴を紹介していきます。

丸鐶

2つ以上の物を結びつけて使用します。円状でつながった形状になっているため、結んだものを角度の制限なく移動させることができるのが特徴です。

D鐶

2つ以上の物を結びつけて使用します。D字型の形状になっているため、一方向を固定した状態でもう一方向に結んだものを180度移動させることができます。

角鐶

2つの物を結びつけて使用します。長さの調節が可能なベルトと本体をつなぐ際にしばしば利用されます。

フランス鐶

ベルトの調節に使用します。片側を縫製によりベルトを固定し、その下部から中央のバーの上部を通すことで、容易に長さ調節が可能です。

S鐶

片方に物を結びつけ、もう片方は着脱可能なようになっています。カーテンレールなどに利用されることが多い鐶です。

角鐶やD鐶、丸鐶では、強い力がかかるとその繋ぎ目から開いてしまう危険性があります。それを解消するために考案されたのが「ろう付け」と呼ばれる方法です。繋ぎ目に部材よりも融点の低い合金を溶かして接着剤のように使用することで、繋ぎ目のない鐶が出来上がります。強い力や、継続的な力がかかる箇所にはろう付けされた鐶をおすすめします。
マルイチでは標準仕様で、ろう付け鐶を製品に使用しています。

色々な金属製フックで様々な場所に

ラッシングベルトなどのベルト製品のほとんどは、先端にベルトを固定するためのフックがついています。その形状は多種多様なものがあり、用途に応じた形状のものを用いることで、様々な場所でベルト製品を使用する事ができます。よく使用される端末金具には以下のような種類があります。

エコールドマット専用ヒンジ付フック

冷凍車用間仕切エコールドマットをトラックレールに直接取り付けることを可能にしたマルイチオリジナルの蝶番式フックです。間仕切りをまるで扉のようにスムーズに開閉することができます。間仕切りが自立するため、ガスケットによる圧入の必要がなくなり、荷物の積み下ろし時にスムーズな開閉と仕切り位置を移動する労力を大幅に軽減できます。これまでのように力任せに蹴り上げて開閉する必要がなくなり、本体やキックガードの破損も少なくなります。

ワンピースフック

ワンピースフックはトラックレールのついた中、大型の箱車内での固定専用の端末金具です。ロープタイオフを用いることにより他の端末金具のものでも、ワンピースフックを取り付けることが可能です。

ナローフック

ナローフックは主に荷台に受け金具がついているタイプの平ボディのトラックでの積荷固定に使用されるフックです。また、その形状から汎用性が高く、重量物の運搬時の固定などにも使用されます。

フック&キーパー

フック&キーパーと呼ばれる固定具付きのフックです。フック自体の形状はナローフックとほぼ同じです。フックをかけた部分から外れてしまう恐れがある場合に止め具を用いて固定できます。

意外と大きいチェーンの品質差

物流、建築、工事などの現場で欠かせないのがチェーンブロック、レバーブロックなどのホイスト製品。重量物を扱う現場ではその命綱とも言えるチェーンの品質、強度は妥協が許されない部分です。
ホイスト製品に使用されるチェーンには基本的に特殊合金鋼が用いられます。特殊合金鋼とは、鉄に炭素以外の元素を加えることにより、硬度・強度・粘り強さ・耐摩擦性・耐熱性・耐食性など様々な特性を付与した鋼のことを言います。

ホイスト製品には主にマンガン合金鋼、ニッケル合金鋼のチェーンが使用されます。マンガン合金鋼は強度が非常に高い一方、高硬度となり、電動製品では巻き取りの際に破損する恐れがあるため、手動製品に主に使用されます。一方、ニッケル合金鋼は強度とともに粘り強さも高くなるため、巻き取りによる破損はなく、電動製品にはこちらが使用されています。また、海外ではニッケルの含有量が多いものが好まれるため、手動製品でもニッケル合金鋼を使用する場合があります。

また、チェーンは特殊合金鋼に焼き入れ、焼き戻しを施すことで製造されますが、その焼き入れの方法には大きく分類して2種類の手法が存在します。まず、調質(V級)チェーンと呼ばれる硬度を重視した焼き入れ方法です。赤外線により内部から焼き入れを行うことで、これ以上硬いものはないと言われる硬度を出すことができます。調質チェーンは主に手動製品に使用されます。
もう一方は、浸炭(T級)チェーンと呼ばれる比較的柔らかい性質に仕上げることができる焼き入れ方法です。金属の硬化はその炭素量に強く依存するため、表面に炭素を添加し、内部のやわらかさを保ったまま表面を硬く仕上げることで巻上げによる金属疲労が少ないチェーンが出来上がります。主に電動製品に使用されます。

JIS規格を超える世界最高品質

チェーンの品質はその材質、製法により様々ですが、品質世界最高クラスを誇るチェーンは日本国内に存在します。そのチェーンを製造しているのは㈱キトー。独自の研究開発によりこだわり抜かれたそのチェーンは破断応力100kg/m㎡以上と超強力。本項では日本が誇る最高品質のチェーンへのこだわりを紹介させていただきます。
まずこだわり抜かれた原材料はニッケル合金鋼、マンガン合金鋼。これらは添加されるニッケル、マンガンの含有量により品質も様々となりますが、キトー独自のノウハウによりチェーンとして最高の品質を発揮できるものを使用しています。
しかし、チェーンの品質で最も差が出るところは焼き入れ方法です。キトーでは独自の自動熱処理装置で焼き入れ、焼き戻しを施していきます。

しっかり焼き入れを施された合金鋼を冷却して焼き戻すことで強度が大きく増します。
キトーの調質(V級)チェーンは赤外線で内部から焼きを入れることによって100kg/m㎡以上の破断応力を実現。硬度、強度とも世界最高クラスのチェーンです。また、浸炭(T級)チェーンは比較的やわらかめに仕上げ、表面効果処理を施すことで、柔軟性を持たせながら破断応力80kg/m㎡以上を実現。
また、キトー製のニッケル合金鋼チェーンは耐食性を高くするため、ニッケルメッキを施しています。金属のメッキ方法では一般的には電解メッキが使用されますが、電解メッキは金属が化学反応を起こすため、内部から水分が発生し、強度が落ちてしまう側面があります。キトーではそれを防ぐためにメッキ層を無電解で形成する技術を採用。さらに、キトー本社工場内に設置されている最大100tの負荷をかけることができる日本最大級の試験装置を用いるなど、他の追随を許さない安全への意識がJIS規格を超える世界最高品質のチェーンを生み出しました。