RUBBER 金具類

物流現場を支えるゴム製品

物流の現場で目に見えて活躍するのは発泡材などの緩衝材ですが、あらゆる場面でなくてはならないのがゴム製品。例えば台車の車輪を止める台車用ストッパー、トラックシートのゴム輪、養生や滑り止めに使用されるゴム板など、物流の現場を縁の下から支える製品があります。マルイチではこれらの製品にもこだわり、お客様の要望にストライクな材質・品質のゴム製品を提供しています。

ゴムの性質

一口にゴムと言っても様々な種類があり、用途に合わせた特性を持つものを選択することが重要です。ゴムの種類を大別すると、「天然ゴム」「ジエン系ゴム」「非ジエン系ゴム」の3種類に分けることができます。
「天然ゴム」はゴムの樹(ヘベア・ブラジリエンシス)から採取されるゴムで、反発弾性、引き裂き強度や耐摩耗性など物理的性質が高い反面、天然素材故に非ゴム成分が約10%に達し、品質が不均一となるため、他のゴムとブレンドして使用することが一般的です。
天然ゴムは本来ゴムの持つ弾力性があり、機械的強度、伸縮性に優れますが、耐熱性、耐油性、耐候性、耐オゾン性に劣ります。
「ジエン系ゴム」と「非ジエン系ゴム」はポリマー主鎖(物質の骨格となるもの)に二重結合構造を含むか含まないかで分類が分かれます。

この二重結合構造を含むものは「ジエン系ゴム」と呼ばれ、含まないものは「非ジエン系ゴム」と呼称されます。二重結合を含む「ジエン系ゴム」は耐候性、耐オゾン性に劣る傾向があります。
「ジエン系ゴム」にも多様な種類がありますが、代表的なものとしてはスチレン・ブタジエンゴム(SBR)があります。ゴム製品の中では最も生産量が多く、広範囲に使用されており主な用途は自動車のタイヤやコンベヤベルトなどの工業製品です。品質が一定で異物の混入が少ない点や、加工性、物性、コストの総合バランスに優れていることが特徴です。
「非ジエン系ゴム」はポリマー主鎖に二重結合構造を持たない、もしくは持っていても僅かのゴムで、優れた耐候性、耐オゾン性を持っています。また、酸化に対する拮抗性が高い特徴があります。
「非ジエン系ゴム」の代表的なものとしては、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)が挙げられます。EPDMは耐寒性、耐オゾン性に優れ、特に耐候性が高く、電線被覆や建築用、自動車用など厳しい環境に長期間晒される場所で使用されており、劣化しにくく耐久性が高いという特徴を持っています。
そのほか「ジエン系」、「非ジエン系」それぞれの中には様々な特性を持ったゴムが存在します。下図は、それぞれのゴム種類の特徴、主な用途をまとめたものです。

小さな巨人「キャスパー」

マルイチではゴム製台車用キャスターストッパー「キャスパー」(特許第5478766号取得)を製造しています。現在では一般的に普及している台車用ストッパーですが、これは実はマルイチが最初に開発したものです。ストッパーには木製やプラスチック製のものもありますが、ゴムで製造する事により、揺れの吸収、安全性と着脱の簡単さの両立、滑りにくさという利点をプラスしています。
ゴム製ストッパーの中にも、隙間を広く空けて着脱をしやすくしているものもありますが、設置時の安全を考慮すると、隙間が少ないほうが、予期せぬ揺れによる事故の危険性を最小限に軽減することができます。マルイチのキャスパーはゴムであることの利点を最大限利用し、極薄スリットを入れることで、安全性の高さと着脱の簡単さを両立しました。また、150φのカゴ台車対応のLサイズはオープンリング方式を採用。紐を引っ張るだけで取り外しができるので作業の効率化につながります。

キャスターのロック機能は作業場所や時間によってはしばしば足元の見えにくい場所での操作となり、ロックのかけ忘れや、故障といった場合もあります。キャスパーは見た目にも設置がはっきりとわかるため、ロック機能のかけ忘れを防止することができます。輸送にかけるこの一手間は大きな安全、大きな価値を生み出します。 キャスパーが活躍するのは物流の現場だけではありません。2020年までに30%の確率で首都直下地震が起こると言われています。大地震では、オフィス家具が数メートル飛び、凶器と化す可能性があることが周知の事実となっており、現在オフィス家具や機材等に、地震に備えてストッパーを設置することは常識とされています。台車のストッパーだけでなく家具の固定、地震対策にも最適なのはゴム製のキャスパーです。
キャスパーは材料のゴムにもこだわりを持っています。通常のゴム素材では硬化して形状の戻りが悪くなるため、ループ式を実現することはできません。そこで、天然ゴムとSBRを独自の配合でブレンドし、最適な硬度と伸縮性をもたせることで、簡単に取付けでき、設置時に隙間のできないループ式を実現しました。
また、カラーモデルにおいては高価なEPDM(非ジエン系ゴム)を使用することによって、色調合の実現と床へのゴムの付着を軽減する機能を持たせています。EPDMは耐オゾン性が高いため劣化が少なく、耐候性、耐寒性等にも優れたゴム素材で、長期の使用に適しています。
さらに、クリーンルームや病院、食品工場等での使用が可能なハイエンドモデルとして、素材に高品質なシリコーンゴムを使用した製品もご用意。シリコーンゴムは高いレベルの耐熱性、耐寒性、耐オゾン性、耐候性を持つ素材で、さらに電気特性、非粘着性に優れ、設置場所への貼りつきが無く、設置跡が残りません。

キャスパーは、用途に応じて価格、性能など最適な仕様の選べる最高品質のゴム製台車用キャスターストッパーです。

安全な輸送を支えるトラックシート用ゴム輪

トラックシートを荷台に固定する際に不可欠なのがゴム輪です。シート用のゴム輪はタイヤチューブを再利用して製造されることが多く、タイヤチューブにはその特性からほとんどの場合、ブチルゴムが使用されています。ブチルゴムは屈曲しても亀裂が生じにくく、引裂きに対する強度も併せ持っているのでタイヤチューブのみならずシート用ゴム輪としても適した材質と言えます。
また、その他にもホロタイト®と呼ばれる合成ゴムのバージン材が使用されることもあります。ホロタイト®は耐候性が高い特徴がありますが、価格は割高となり、伸縮性はブチルゴムに劣るので、荷台にかける際により強い力が必要となります。マルイチは機能性を重視し、ブチルゴム製のシート用ゴム輪を取り扱っています。消耗品となるゴム輪としてお客様の要望にストライクなものはブチルゴム製だと弊社は考え、ご提案しております。文字通り足となり物流を支えてきた丈夫なタイヤチューブが姿を変えて、再び物流の現場を支えます。

養生・防震には天然ゴム板

防音や防震、滑り止めが必要とされる現場での床養生にはゴム板が最適。養生として使用されるゴム板は大半が天然ゴム100%のものを使用しています。合成ゴムをブレンドしていない純粋な天然ゴムは合成ゴムと比較して安価で、養生に使用するのに申し分ない性能を備えています。ただ、耐熱性や耐油性、耐候性は合成ゴムに比べて劣るため、製品の部材として使用する場合や、長期使用が必要な場合は合成ゴム製のゴム板を使用します。