PACKING 包装資材

多種多様なテープ用品

物流現場では製品を梱包する際に、各種養生の固定に、様々な場所の補修にテープが使用されます。テープ製品と一括りに言っても、現在では様々な場面に特化した多種多様なテープが存在します。「クラフトテープ」、「養生テープ」「両面テープ」「セロハンテープ」などその種類は数えきれないほどです。この項ではテープのルーツから、様々な用途へ派生していった過程、そしてマルイチが特にこだわって販売しているテープをご紹介いたします。

テープと呼ばれるものが世界に誕生したのは19世紀後半です。1874年にアメリカで開発された絆創膏がテープの起源だと言われています。それとほぼ時を同じくして、イギリスではブラックテープ、いわゆる電気絶縁テープが開発されました。工業的な用途ではこちらが起源と言えます。このとき、既にロールの圧力により成形するカレンダー方式での製造が開発されており、この発明に乗じて様々な分野で応用され始めます。粘着テープが急速に発展した背景にはフォードによる自動車の大量生産があります。大量生産による塗装には塗装箇所以外を汚さないように保護するマスキングテープが必須でした。このマスキングの技術は現在でも自動車塗装には欠かせないもので、マスキングにテープを使用するというフォードの発想がテープを発展させ、テープが自動車の大量生産技術の発展を支えたと言えます。

そして、一般家庭において最も馴染みが深いテープと言えば、セロハンテープではないでしょうか。セロハンテープを開発したのは自動車用のマスキングテープを開発したのと同じアメリカのリチャード・G・ドルー。試行錯誤のうえ1930年に現在の形に近いものが出来上がり、日本でも1935年から発売が開始され、その使い勝手のよさから、海軍が軍用航空機(零戦)のマスキングにも使用していました。

この頃にはテープは産業、一般市民の生活にも不可欠なものとなり、より一層幅広い分野に使用され、それぞれの用途に特化したテープが開発され始めます。物流の分野でも多様なテープが活躍していて、テープなくして物流は成り立たないと言っても過言ではありません。マルイチでは、「養生テープ」「クラフトテープ」「布テープ」「両面テープ」「マスキングテープ」「シート補修テープ」などを品質を厳選して販売しています。次項ではテープの種類についてご紹介します。

物流の現場を支える包装資材

現在日本国内で使用されているテープは国内製品と輸入品どちらも存在します。テープの種類によってその割合は異なりますが、クラフトテープや布テープなどは国内製品が主流となっています。対してOPPテープなどは輸入品が主流です。

テープに使用される糊は「ゴム系粘着剤」と「アクリル系粘着剤」、「シリコーン系粘着剤」があります。
ゴム系粘着剤は粘着性に優れており、様々な素材の表面に粘着します。安価で一般的に普及しているテープは、主にゴム系粘着剤が使用されています。一方でアクリル系粘着剤は、粘着性がゴム系粘着剤より弱まるものの粘着力が衰えません。耐候性に優れ、長期間の屋外での使用にも適しています。シリコーン系粘着剤はシリコーンゴムやテフロンなどに粘着する特殊な粘着剤です。一般的に手にする機会は少なく、工業用の絶縁用テープ等に使用されています。

この項では一般的に使用される、それぞれのテープの種類と特徴をご紹介します。

クラフトテープ

クラフトテープとは、クラフト紙の片面に糊が塗布された紙製テープで梱包用に多く使用されています。一般的な厚みは0.15mm、ゴム系粘着剤が使用されているものが主流で、国内で流通するクラフトテープはそのほとんどが国内製品です。海外ではあまり使用されることがなく、製造しているメーカーの大多数は日本企業です。糊残りが多いテープですが、手で簡単にちぎることができ、安価なため多くの場所で重宝されています。クラフトという名称ですが、表面を合成樹脂でラミネート加工してあるので、水や油をはじき、ペンで文字を書くことができません。また、クラフトテープを重ねて貼ってしまうと途端に粘着力が落ちテープとして機能しなくなります。価格は安価で、かつ軽量なので軽梱包用としての使用が適しています。

布テープ

布テープは化学繊維や綿など様々な素材を編んで作られた布を基材として、粘着剤を塗布してテープに仕上げたものです。クラフトテープと同様、ゴム系粘着剤を使用したものが主流になっており、粘着力が高いため糊残りは他のテープより比較的多いテープです。一般的にはダンボールの梱包に使用するポリエチレン製の繊維で作られた基材を用いたものが広く知られています。国内製品が主流ですが、価格破壊が進行し、現在では輸入品も市場に見られるようになってきました。ただ、海外では薄い布を丈夫に織る技術が不足しているため、国内製品の方が強度が強く、手切れも良いものになります。布テープは表面に油性インクで文字が書け、クラフトテープよりも基材が強く、厚みが0.2mm~0.3mmと丈夫なため、重い物の梱包にも適しています。しかし、クラフトテープより高価格で重さがあるため、用途に合わせて使い分けが必要です。

OPPテープ

OPPテープはポリプロピレンを溶かし、押出して成形された透明なフィルムを基材にして、粘着剤を塗布してテープにしたものです。耐水性、耐湿性、透明性に優れており伸縮性もあるため、主に梱包の際に使用されています。素手でカットができず、品質差が表れにくいOPPテープに関しては輸入品が多く出回っています。国内製品のOPPテープはゴム系粘着剤が多いのに対し、輸入品はアクリル系粘着剤が使用されたものが多いです。アクリル系粘着剤を使用しているため、養生テープほどではありませんが糊残りしにくいテープです。また、輸入品は厚みのバリエーションが非常に少ないことも挙げられます。国内製品は厚みと幅の選択肢が豊富なため、用途に最適なOPPテープを選ぶことができます。薄いOPPテープは縦に裂けてしまうこともありますが、0.05mm以上の厚みがあれば縦裂けしにくいと言われています。クラフトテープ・布テープより格段に高い強度が特徴で、価格は布テープほど高くなく比較的安価なので、しっかりとした梱包にはOPPテープの使用が最適です。

養生テープ

養生テープはポリエチレンクロス素材を基材にしたテープです。仮止めやマスキングに多く使用され、エンドユーザーの手には渡らない場所で使用されるため、いかに安く使い勝手が良いかが問われます。粘着剤は剥がしても跡が残りづらいアクリル系粘着剤が使用されています。価格競争の結果、近年輸入品も増えてきていますが、国内のシェアは圧倒的に国内製造品が多いのが現状です。養生した場所や製品に仮止めする際、貼った場所に糊が残らないことが最重要視されます。輸入品でははがれが悪いことも多く、ポリエチレンクロスの品質も異なるため手切れが悪く、作業効率が悪くなってしまいます。このような理由から、養生テープは国内製造品が広く流通しています。マルイチでは、通常的な厚み0.15mmの粘着力、耐糊残り性に優れたP-カットテープ#4140を推奨販売しています。

このように、テープはそれぞれの特性によって品質が強く求められるもの、価格が重視されているものがあります。共通して言えるのは国内生産品の方が粘着剤の質、基材の質ともに上回っているということです。海外ではエンドユーザーが丁寧な梱包をさほど求めていないということもあり、品質に厳しい日本のユーザーが上質で豊富な種類のテープを生みだしました。使用環境、状況に応じて、正しい知識で使用上不都合のないものを選択することがスムーズな作業を支えます。マルイチではお客様のご希望にストライクなテープをご提案いたします。

物流の現場を支える包装資材

ストレッチフィルムはポリエチレンを原材料とした、伸縮性のあるフィルムです。パレット積みの荷物の荷崩れを防止するために、荷物の固定に多く用いられます。ポリエチレンを押出成形にてミクロン単位の薄さに押し出して、それを巻き取っていきます。マルイチで取り扱う主要なフィルムは15ミクロン~18ミクロンの厚みです。1ミクロンは1000分の1mm。微細な厚みの違いでも、切れやすさや伸びやすさは大きく異なります。もちろん厚い方が丈夫で、大きな荷物を包装する際に使用されます。

ストレッチフィルムは商品とともにお客様の前に出ることの無い梱包資材なので、見栄えや性能よりも価格で選択されている製品です。国内でストレッチフィルムを製造する業者は年々減っており、日本で流通するストレッチフィルムは8割が安価な輸入製品となっています。輸入品は大量生産が容易なため安価で販売されています。一方で、ダンボールなどでの梱包がなく、製品に直接ストレッチフィルムを巻かなければならない場合などは品質のばらつきが少ない国内製造品が求められます。国内製造品は割高にはなりますが、特注のストレッチフィルム製造に長けており、汎用品では対応できない特殊なストレッチフィルムが欲しい時や小ロットでストレッチフィルムを使用したい時に最適です。

現在ではストレッチフィルムでの包装専用の機械や、様々な用途に合わせたストレッチフィルムも開発されています。ストレッチフィルムは手軽に梱包できる素材ではありますが、手で巻くとなると時間がかかり、コストが高くついてしまう場合があります。また、手巻きでは人により1回の梱包に使用するストレッチフィルムの量が安定せず、コストを計算しにくくなります。大量に梱包が必要となる現場では、ストレッチフィルム梱包専用の機械を使用することで大幅なコスト削減が可能となります。また一般的な形状とは異なるストレッチフィルムも色々あり、幅の細いものは棒状のものを結束したり、新聞紙の廃棄用にも使用されます。高価な荷物では、荷抜きを防止するために、梱包物を見えないようにした黒色のストレッチフィルムなども登場しています。
近年登場した「メタロセンLLDPE」という特殊な素材で作られたストレッチフィルムは、薄肉でも切れにくい特徴を持っており、従来のストレッチフィルムに比べ半分程度の厚みで同等の強度、透明性を実現しました。原料の使用量が少ないため、使用後のゴミの量も少なく、環境負荷の低減につながると見込まれています。
今後、次世代の薄肉・環境対応ストレッチフィルムになると期待されています。

エコな「荷崩れ防止ベルト」

荷崩れ防止に使われているストレッチフィルムですが、最大の問題点は外した際に出てしまうゴミです。排出されるゴミは環境配慮の観点や、処理する手間などから悩みの種となっています。ISO14001では使用量の削減が目標とされ、「脱ストレッチ」を求める声は強くなっています。さらに、原油価格高騰による値上がりが続き、コストの上昇は止まりません。
このような背景を受け、ストレッチフィルムに代わる荷崩れ防止方法が数多く考えられています。中でも作業効率・ゴミの削減・ランニングコストなどのメリットが多い荷崩れ防止ベルトが注目を集めています。劣化しにくいため保管も容易で、手間もかかりません。荷崩れ防止ベルトは様々な企業で開発されており、脱ストレッチ化が推進されています。

マルイチも例外ではなく、他社とは一線を画する荷崩れ防止ベルト「ケースロック」を開発しました。他社製品にはない天板をベルトに付けることで1人で簡単に荷締めを可能にしました。かかる時間も30秒とスピーディーに行なえるため作業効率に大きく貢献します。荷崩れ防止ベルトは繰り返し使える環境に最適です。自社便の輸送や自社倉庫間での使用などリターナブルな場面で継続して使用することでコスト削減に繋がり、1年間使い続けるだけで荷崩れ防止ベルトの初期費用が回収できます。
ストレッチフィルムは安価で手に入れることが出来ますが、使用環境や場面に応じて荷崩れ防止ベルトの活用をご検討ください。

物流の現場を支える包装資材

物流の現場だけでなく、一般的にもあらゆる場所で使用されている気泡緩衝材はポリエチレン製の膜で空気を包み込み、無数の気泡をシートにした物です。緩衝材として大切な包装対象物を衝撃から守ります。ポリエチレンは完全燃焼させると水蒸気と二酸化炭素に分解され、封入する空気は地球上どこででも手に入るため、様々な場所で製造可能です。最小限の膜材料と無尽蔵の空気で構成された気泡緩衝材は、環境への配慮にも貢献できる緩衝資材です。もう一つの特徴として断熱にも威力を発揮します。空気は熱伝導率が低く原料のポリエチレンも熱を通しにくいので、さまざまなシーンで効果が得られます。気泡緩衝材の中でも広く認知されている「プチプチ」は川上産業(株)の登録商標であり、国内シェアの約50%を占めています。

実は気泡緩衝材は品質が重要視される資材です。国内に流通するものはほとんどが国産品です。一部、ホームセンターなどで個人向けに中国産のものが販売されていますが、物流の現場で海外製品を使用するということはほとんどありません。品質的に粒強度が国産品と比較して弱いという欠点もありますが、何よりも気泡緩衝材は製品に直接触れることも多いためその安全性が重要視されます。SDS※1、ICPデータ※2などの環境調査のデータが提示できない場合は、輸入品の気泡緩衝材を採用しない国内企業が多く見られます。

気泡緩衝材は用途によって様々な大きさがあります。その粒径は7mm~32mmと幅広く、最小7mmのものは主に菓子類の割れを防ぐために使用されます。一般的に見慣れたサイズは10mmの気泡緩衝材で、食器やパソコンの包装など、多岐にわたって使用されています。そして、この10mmの気泡緩衝材は、粒の高さ、硬さなどバリエーションが豊富なため用途によって選択ができます。これより大きいものは20mm、32mmのものがあり、主に重量物の梱包に使用されます。金属部品や家具、美術工芸品などが主な用途です。気泡緩衝材には使用時の品質面での特性のほか、環境に配慮した特性をうたった製品などが存在します。

※1 SDS(Safety Data Sheet:安全データシート)
※2 ICPデータ(RoHS指令によって使用が制限されている物質の精密分析結果)

<一般的な気泡緩衝材>

一般の家庭から企業、物流現場で一番目にする気泡緩衝材です。防水・耐薬品性に優れており、バリエーションも豊かで多くの人々に愛用されています。一般的によく見る気泡緩衝材は2層構造ですが、粒表面に層を追加した3層構造の気泡緩衝材もあります。強度が高く、滑り性に特化した3層構造の気泡緩衝材は耐久性も高いため繰り返しの使用にも適しており、梱包作業の向上に役立ちます。

電子機器への梱包に最適な静電防止効果のある気泡緩衝材です。被包装物を、様々な静電気障害や衝撃から守ります。色別包装に適し、仕分けが容易です。 静電気対策と緩衝包装が一体化された気泡緩衝材です。

<特殊な気泡緩衝材>

サトウキビ由来の「グリーンポリエチレン」(Braskem社)を使用したさわやかな若草色のプチプチです。グリーンポリエチレンは、主原料のサトウキビが育成段階でCO2を吸収しているため、廃棄物として焼却される際のCO2排出量をゼロ(カーボンニュートラル)とみなすことができます。『バイオプチ』は、グリーンポリエチレンをプチプチに約15%配合することで、CO2排出量を従来より5%以上削減することが可能になりました。そのため、CO2が要因のひとつとなっている地球温暖化防止に大きく貢献できます。

プチプチの紙管をなくしてゴミの排出を少なくしたプチプチ。包装袋もポリエチレン製なので、ポリエチレン以外のゴミは一切排出されない環境配慮製品です。

活用されにくい、有色再生原料を複数混ぜ込みCO2排出量を削減したプチプチです。通常の気泡緩衝材と比べ、原料採掘から製造、輸送、廃棄までに発生するCO2排出量を元来のプチプチより約34%と大幅に削減することが出来る製品です。

物流の現場を支える包装資材

プラスチックダンボール(通称プラダン・ダンプラ)とは、ポリプロピレンを原料とした紙ダンボールと同じ中空構造のシートです。プラダンは紙ダンボールに比べ数十倍の耐久性があり、ヒンジ特性(折り曲げを繰り返した時の耐久性)は20万回以上にもなります。紙ダンボールと同様に断裁、罫線、トムソン加工が可能なので、二次加工がしやすく、繰り返し使用する通函や、ケース類の加工に適しています。梱包箱として使用した際、軽量なため作業員の負担軽減や、繰り返し使うことでコスト削減にもつながるため、近年関心が高まっている素材です。紙ダンボールは製造過程で「紙粉(しふん)」という紙の粉が発生します。紙粉が紙ダンボールにそのまま付着し、製品に混入することがあるため、精密機器や薬、食品業界では紙ダンボールが使えない場合もあります。また、同様の理由から紙段ボールはクリーンルーム内に持ち込むことが出来ませんが、プラダンは切りくずが発生せず、異物混入の恐れはありません。帯電防止処理やカーボンを練り込み導電性能を持たせたプラダンもあるため、クリーンルーム対応の梱包箱を作ることも可能です。

輸送の現場では梱包用途の他に、搬入時の壁面養生や積み込み時の隙間埋め等にも利用されています。中空構造により耐衝撃性もあるため、紙養生やブルーシートでは不十分な部分の養生、引越など繰り返し使用したい場合の養生に適しています。トラック用緩衝材としてベニヤや合板の代替品に厚物プラダンが利用される場合もあります。通常のプラダンの厚みは3mm~7mmですが、厚物プラダンは9mm以上の厚みがあります。厚物プラダンは耐久性に優れ、長期使用した場合でも削れやひび割れが起こりにくいため、ベニヤや合板で荷物への異物混入が心配される食品や薬品の輸送、合板よりも軽い素材で作業の負担を軽減したい場合に適しています。

プラダンの品質を決定付ける「目付」

プラダンシートの強度は、「目付」という言葉で表されます。目付とは、プラダンシート1m2あたりの重量(g)を言います。生地や織物などで使用される言葉ですが、プラダンにおいてもこの言葉が用いられます。目付が大きい程、シートに含まれている樹脂量は多く、シートは堅くなり、より丈夫で、耐久性の高いものとなります。

目付が上がると、シート自体の厚みは変わりませんが、中空部の各パーツが厚くなります。その分潰れにくく、たわみにくさや堅さも向上し、繰り返し使用する通函や、荷重がかかる緩衝材としても耐えうる品質のプラダンとなります。

樹脂量が多い分、シートの価格も目付とともに高くなりますが、ランニングコストで見れば繰り返しの使用が可能なプラダンのほうが安いと言えます。一方で、目付の低いプラダンは樹脂量が少なく、その分価格は安いですが、強度も低いため複数回の使用には向いていない場合もあります。ただ、柔軟性があり扱いやすいといった面もあるので、柱に巻き付けて使用したい場合など、目付の低いプラダンが好まれる作業場面もあります。同じ厚みのプラダンでも、目付によって価格差や強度差が生まれます。用途や加工方法に適した目付のものを選択する必要があります。
プラダンの品質を選択する上で、厚みやサイズだけでなく、「目付」が最も重要な要素となるのです。